生物多様性(BioDiversity)ガイドツアーって何?

多くの人が山頂を目指して通り過ぎてしまう足元では、無数の生き物たちの物語が大展開しています。

ホトケノザやムラサキケマン、スミレたちの種をそっと手に取るとエライオソームという白い膜状のものがついています。これはアリたちの大好物。いそいそとアリたちが種を運び、エライオソームだけ食糧にし残された種は次の春を待ちます。

冬眠をしないニホンリスたちは、秋のうちに冬の食料確保のため、大好物のオニグルミを木の洞や土の中に一生けん命埋めて隠します。いざ冬が来ると「あれ?どこに埋めたんだっけ…」とリスたちは隠し場所を全部は思い出せません。リスが運んで土の中に埋めたオニグルミは、そこで静かに冬を越し春の芽生えを待ちます。

いろんな生き物どうしがお互いに関わりあいながら、生き残るため、次世代を残すため、あれやこれやと奮闘中。

いつもは気づかず通り過ぎてしまう森の中で繰り広げられる様々な生き物たちのこのような物語を伝えるのがBioDiversity(BD、生物多様性)ガイドです。

植物や昆虫を見つけて名前を教えてくれるガイド、道案内をしてくれるガイドとは少しことなります。生き物の中にはわたし達人間も含まれます。食料にしたり、油や薬にしたり、繊維にしたり、暦がわりしたり、子どもたちが遊び道具にしたり…わたしたちヒトも生き物たちの命の連鎖にかかわり暮らしてきました。その関係性の中で、生き物たちの生態を知り、名前をつけてきたのです。BDガイドは、そんなヒトと生き物の関係も教えてくれます。ヒトと自然の関係が遠くなり、時には切れてしまうことによって、だんだんと名前も忘れ去られ、いつどこにその花は咲くのか、毒草なのか食べれるのか、その鳥たちはいつ渡ってくるのか、その虫たちがどんな役割を森の中で担っているのか、そんなことが忘却の彼方になりつつあります。もう一度、わたしたちと森の生き物たちの関係を結び直すガイドがBDガイドです。

これまで、ただの草むら、ただ木々がたくさんあるだけと思っていた場所が、BDガイドを受けると、まったくことなる姿を現します。目を向けることもなかった足元や木の高い梢、葉っぱの裏側、水を抱える苔たちなどに気持ちが向くようになり、森を見る視点がすっかり変わっていきます。

いろんな植物の匂い、土の匂い、鳥たちの合図、水のせせらぎや木々をわたる風の音。五感を研ぎ澄まし、生き物を知識として知るのではなく体感でつながりを思い出すことがBDガイドツアーの目的です。

生物多様性ガイドたち

植物学者はいません。昆虫学者も、生態学者もいません。 でもわたしたちは、どこに行けばジャケツイバラの竜の背中の […]